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春 [書斎の本棚]

二次小説です。






春の雨はあの人の恵み

春の空はあの人の心

春の陽気はあの人の包み込むような手

春の花はあの人の笑顔

春の風はあの人の後押し




今年も新しい生徒達がやってくる

希望と不安を抱えてやってくる

『秀雄さん、私は元気です』

みどりはまだ咲いている桜を見上げながら坂を上る
昨晩、雨が降ったが、どうにか新入生にも桜の花を見てもらえることが出来た。

「みどり先生、おはようございます」
「おはよう」

生徒達がみどりを追い抜いていった。


『秀雄さん、私、今日から学園でも中村みどりになるんですよ』

昨日までの雨雲は去り、頭上にはちょっと霞みがかった晴れた空が広がっていた。

天気予報では最高気温は20℃を超えるといっていた。


みどりはちょっと足を止めて、葉が目立ち始めた桜をもう一度見上げる。

その時、ゆるやかな風がみどりの髪をなびかせ、背中を押した。

みどりは、元気に坂を上り始めた。

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